退職届を出した日のことを思い出してみる

仕事のこと

退職届を出した日のこと

 

もはやただの日記ですが。。

前に勤めていた会社に退職届を出してから、気づけば2年が経過していました。今の会社で内定をもらったのが2020年7月12日。退職届を出したのが、確か7月14日。ちょうど2年前です。

書くならこのタイミングしかないと思うので、勢いで書いてみようと思います。

 


 

当時、工場の生産管理をしていました。夏は暑いので、サマータイムというものを導入しています。今の仕事では、全く縁のない言葉です。サマータイム。就業時刻を前倒しすることで、朝の暑くないうちから仕事を開始し、夕方早めに終わろうというやつです。

作業員の人たちは7時始業。誰が急に休むかもわからないので、6時すぎに僕らも出勤していました。そんなときは人員配置を考える必要があるからです。僕らの「ら」は先輩社員のことを指しています。今思うと、6時過ぎに出社してるのほんとすごいですよね。偉すぎ。

 

退職届を書いたのは7月13日の夜。

もちろん始めて書くので、礼儀作法を調べながら書きました。

退職届って、社長宛に書くんですよ。社長が変わって数ヶ月しか経ってなかったので、一度も会ったことはありません。本社と地方の工場は、物理的にも心理的にも完全に分断されています。「誰だよお前。何様だ。」と思いながら、社長様に向けて退職届を書きました。知らない人間同士が退職について連絡しあう。よく意味がわからないですよね。

 

一通書き上がりました。無難な仕上がり。「もっとうまく書ける気がする」と、謎の職人気質を発揮してもう一通書いてみました。変わらない出来栄え。

「まぁ、予備として持っておくか。所長に勢いで破られたら困るし。」提出先は所属長なので、僕の場合は営業所の所長に出すことになっていました。

 

無事に書き終わりましたが、これまた無事に緊張が強くなってきました。修学旅行の前のウキウキで眠れない感覚の、あの真逆。緊張して眠れない。。

「なんて言って渡そう。どう切り出そう。。。」

このあたりも、もちろん調べました。

会議室など、上司と2人っきりになれる場所で渡す。それが礼儀。そりゃ、他の人からしたら、そんな一世一代の場面に出くわしたくないですもんね。

しかし問題は、うちの事務所に会議室などないこと。あるものは執務室、台所、倉庫。あとは工場の各施設。

2人になれる場所がないとすると、タイミングで解決するしかない。。そう、朝だ!

 

ということで、朝出社してすぐ、「所長、大事な話があるので、あとでお時間いただけますか」と伝えるしかない。。

そう決意して、床に伏しました。


 

翌朝。

いつもどおり、6時過ぎに工場の駐車場に到着。カバンの中には、退職届が二通。予備を含めて。

工場は海沿いにあります。左手に海を見ながら、事務所に向かって100mほど歩いて行きます。「いよいよだ。。まじで緊張する。。」僕が歩くたびに散り散りになるフナムシたちも、今日は一層気持ち悪い。シルエットがもはや「Gキブリ」。君たちはそのシルエットで損をしていることにいい加減気がつくべきだ。そんな小言は、当然出てくるはずもない。こっちは緊張して仕方がないんですから。

 

いよいよ、事務所前に到着。

作業員さんたちと先輩社員が喋っている。いつもどおり、朝早くから集まっている。「田舎×じじい=早起き」は日本の真理。そんなこと言ってると、どこかから怒られるんだろうから言わないようにしよう。

さて、先輩はおしゃべりに夢中なことをしっかり確認しつつ、事務所に入る。

「おはようございまーす」

 

「mうおっす」(誤植ではなく、ほんとにこんな感じ)

所長のいつもの返事。所長の朝も、もちろん早い。責任者は大変なのだ。おそらく、うちの会社(※前の会社ですが)で一番労働時間が長い。

ここまで淡々と書いてますが、駐車場につく段階から本当にめちゃくそ緊張してます。口から心臓が出てきそう。事務所に入った段階では、顔が引きつっていたのではないかと思うくらい。正直、彼女にプロポーズするより緊張したかもしれません。(わからないけど)

 

「所長、大事な話があるので、あとでお時間いただけますか」

 

 

とは、まださすがに言えない。。どうしよう。。しかし、勝負は朝しかない。。

 

とりあえず、台所にいって水を汲む。朝のルーティーンをこなす。そうしながら、気持ちを落ち着ける。落ち着くはずがないけど。

(言わないと、言わないと、、。言わない限り、なにも始まらない。。いつか必ずいうことになるんだから!)

 

執務室のドアをあけ、目の前の自分の机に湯のみを置く。ふう。。

 

「所長、大事な話があるので、あとでお時間いただけますか」

 

(言ったーーー!!!!!言ってもうた~~~~)

 

びっくりした表情の所長。こっちを見る。「…おう。わかった。」短い返事。

 

「ありがとうございます」

頭を下げて、工場に向かう。作業員の人たちの輪に入り、いつもどおり、おしゃべりやら、今日の段取りの打ち合わせやらを開始する。いつも通りを振る舞う。心臓はドキドキしたままだが、もう言ってしまったものは取り返せない。言えた。最大の試練は終わった。。

 

 

その後も、いつもどおり朝礼をし、いつもどおり仕事が始まる。朝礼ではラジオ体操が必須ですが、現在もラジオ体操は続けています。なごりです。

 

午後の仕事が始まってから、所長に声をかけられる。「もりみつ君、今いけるか?」

「はい。(あ、きた〜〜)」

 

作業員さんたちの休憩室で、所長と2人きりに。

そこで、本題を切り出しました。「申し訳ないんですが、退職したいと考えています」

 

「そうかぁ、、」

ガクッと首を落とす所長。

 

「お前がそう考えるなら、それが正解なんやろなぁ」

 

僕のことを理解してくれている所長は、あっさりと認めてくれました。

「でも」

「立場上、引き留めないといけないことになってるけん、確認しなあかん。もう次も決まってるんか。気持ちは変わらないんか。」

 

「はい。決まってます。そこに行きます。」

 

 

おそらく、通常はこの場面でヤマ場を迎えるもかもしれません。が、僕の場合はこのとおり、あっさり終わりました。

元々、所長には会社についての愚痴、特に、同じ職場にいる本社から赴任してきたオジサン社員についての愚痴をこぼしていたことがあるので、朝の段階で察してくれていたのだと思います。僕は恵まれていますね。

(そのオジサン社員については、こちらに書いてあります。)

 

実は所長と2人で話している途中、作業員さんが入ってきました。水を飲みにきたようです。

運良くそこまで根幹の話はしてなかったので、何食わぬ顔で話を続けていました。「特別なことじゃないよ」というアピールをするために。白々しい。。本当は、ガチでめちゃくちゃ特別な話をしているんですけどね。

肝心の退職届は、このタイミングで渡しました。破られもせず、よかった。予備で持ってた退職届はどうしたかって?よく気づく読者さんですね。

予備の退職届は、しばらく自宅に保管していました。所長、机が汚いので、無くされるリスクがあるなと思っていたからです。所長の特徴を理解し、カバーするように立ち振る舞う。それが所員の役割ってもんです。

 

後日知ったことですが、僕と所長が2人で何度か話すことがあったせいで、営業所内では僕が転勤することになったとの予想が回っていたそうです。残念、僕は退職するんです。残された皆さんには申し訳ないのですが、僕はこの会社(前の会社)がもう嫌なんです。皆さんは好きですが、会社が嫌いなんです。

 

 

退職届を出してからおよそ2週間後くらいに、営業所と工場の人らに、僕が退職することが発表されました。全員、驚いていました。皆さんには、申し訳ないんだよなぁ…

 

 

その後は退職の挨拶まわりとか引き継ぎとかで忙しくしてたので、有給は10日くらいしか使えなかった気がします。あと30日とか、残ってたはずですが。

やはり転勤や退職の挨拶まわりって、心苦しいですよね。お世話になった皆さんの暖かい気持ちがありがたいし苦しい。なんか、「裏切った感じ」が自分の中に残ってしまいます。2年経ったらもう綺麗さっぱり忘れてますが。そう、時が解決してくれます。

 

ということで、人生で最大級に緊張した日になりました。感覚的には、やっぱりプロポーズと近い気がする。

緊張してプロポーズできない人は、一度今の会社を退職してみて、感覚を掴んだらいいんじゃないですかね。その後の人生の責任は取れませんが。

 

ちなみに、退職前に僕が最後にやり遂げた仕事は、バイク置き場をつくるための基礎となる穴を掘ることでした。暑い中で、きつかったなぁ。台風とかで、壊れてないだろうか。。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました